GBSについての掲示板などでいろいろな方の書き込み等を拝見しておりますと、ご本人というより周囲の方からのものが多いような気がいたします。
身近な方がなにやら急に身体の自由がきかなくなってしまい、医師からは聞いたこともないような病名を告げられ、「いったいどうなってしまうのか」「自分はいったい何ができるのだろう」と大変困惑していらっしゃる様子がうかがえます。
医療のことは専門家にお任せするのがベストな方法ということになりますが、ここではそれ以外に周囲の方々に知っておいていただきたいことを少し書いてみたいと思います。
(元)患者の立場から、周囲で看病なさっている方々へのメッセージ・・・ということになりましょうか
- 必ず治ります
- 「治ります」という言葉の受け取り方にもいろいろあると思いますので、本当はこの言葉を安易に使いたくないのですが、それについてはまた後にまわすことにして、ここではあえて「治ります」と表現しておきます。
「昨日までほんとうに元気だったのに、今はベッドの上で身動きひとつとれなくなっている」というくらい症状の進行が早い病気ですので、その様子を目の当りにしておられる周囲の方々は、「治りますよ」なんて言われたってただの気休めにしか聞こえないかもしれません。
ただひとつ強調しておきたいことはGBSはどこまでもどこまでも進行し続ける病気ではありませんということです。
GBSというのは自己抗体の誤作動によって自分の(末梢)神経を攻撃してしまう病気ですが、
ある程度まで攻撃をした後、不思議なことに「抗体さん」は突然攻撃をやめてくれるのだそうです。何がそのスイッチになっているのか、そしていつその攻撃スイッチを切ってくれるのかはわかりませんが、GBS自体の進行は必ず止まるということなのです。
(呼吸管理が必要になったり、症状が進むに伴って他の症状が出てしまうこともありますので、それぞれのケースに合った適切な処置は必要になりますが)
そして、末梢神経は中枢神経に比べると回復能力に優れているということですから、ピークさえ越えてしまえばきっとよくなるといっていいはずです。
ですから、周囲の方は特に、必要以上に悲観的にならないでいただきたいと思います。
- 頼みの綱は自己回復力
- ガンマグロブリンの大量点滴や血漿交換などの治療が有効とされているということで、そのような処置をされる場合がほとんどだと思いますが、それらは「GBSを治すためのもの」ではなく、あくまで進行を抑えたりピークを抑えるためのものです。
できるだけ早くスイッチを切ってもらうことを目的としているのです。
残念ながら今のところGBSを治す薬というのはないと言っていいのではないかと思います。
つまり回復の手段は自己回復力のみなのです。
だからこそ、患者本人の「治ろう」とする気持ちを維持できるようにしてあげて下さい。
- 患者にはみんな聞こえています
- 急速に身体の自由がきかなくなって、患者自身かなりのショックをうけています。そして疲れきっています。
まるで意識がないかのように横になっているかもしれませんが、脳に障害を受けたような場合とは違って意外と頭(思考)はしっかりしているのです。
患者には周りの音は全部聞こえていますし、きちんと理解しています。 ただ、手足の自由を奪われて反応をする手立てがないだけなのです。
繰り返し申し上げているように、治す唯一の方法は「自己回復力」のみなのですから、傍らで意欲をそぐような発言をするのだけは避けて下さい。
逆に、治そうという意欲がもてるように思いっきり励ましてあげてください。
- もう充分頑張っているのです
- 励ますというと、つい「頑張れ」を連呼してしまうものです。
しかし、患者は意識・思考がしっかりしたまま突然身体の自由を奪われてしまったという現実を受け入れなければならず、もうすでに充分頑張っているはずです。
不用意に頑張れを連呼するよりむしろ、精神的に安定できるような環境に近づけてあげることが大切です。
前向きな気持ちになれるような材料をたくさん用意してあげてください。
また、急性期を過ぎ、ある程度動けるようになってくると、頑張ってトレーニングすれば筋力も付いて早く元に戻れるなどと思ってしまうかもしれませんが、末梢神経が傷害されてしまった人が筋トレの類をしすぎると、かえって脱力(筋力低下)が進んでしまうということが報告されています。
前向きであることは大切ですが、いろいろな意味で頑張りは禁物だといえるのかもしれません。
- 傍にいてくれるだけでもいいのです
- 患者は頭が痒くても人の手助けなくてはかくことすらできないので、周囲の人に大変な手間をかけてしまうことになります。
そして、患者自身充分それを自覚していて、そのことひとつとっても大変なストレスになっています。
まして、その都度いちいち看護師さんを呼んでいたのでは、それだけで精神的に疲労してしまいます。
「傍にいたからって何をしていいかわからないよ」と思われるかもしれませんが、たとえ積極的に何をしてくれるというわけでなくても、細かいことを気軽に頼める人が傍にいてくれるというだけで、一人で横になっている時とは比べ物にならないほど精神的に安定するのです。
- 余談:「治る」という言葉の意味
- 以前は「放っておいても治る」しかも「予後良好」といわれていた病気のようで、今でもGBSの情報のあちこちで予後良好の文字が見られますが、少しずつ研究が進んで症例が以前より多く報告されるようになったためでしょうか、現在では「決して予後良好な疾患というわけではありません」とはっきりと表現しているものもあります。
神経組織が深く傷ついてしまったりして手足の自由を取り戻すのに長い時間がかかってしまう場合が存在するのも現実です。
私自身のことで申しますと、最初の入院の時、先生やナースさんに繰り返し「治る病気だから」といわれ、非常に勇気付けられました。
ところが、「治る」というと、完全に以前の身体に戻ることを連想してしまいがちですので、もし重い障害として残った場合、私だったら「治るって言ったのに・・・嘘じゃん」と思いっきり愚痴をこぼしていたと思います。
治るという言葉のあいまいさ・・・・
怪我をしたあと多少の傷跡が残っても「治った」と表現しますよね・・・GBSが「治る」というのも、多少の傷跡(症状)が残っても攻撃のスイッチが切れていれば治ったという表現を使うのだろうな・・・などと思ったりもするのですが・・・
- 最後に
- 症状が強い時期は何もできない患者さんの身の回りのお世話だけでとても大変だと思います。
ここまでいろいろと書き連ねてきましたが、一番お願いしたいことは、是非、患者さんの精神的ささえとなって差し上げて下さいということなのです。
なんども繰り返しますが、GBSを治すのは薬でも手術でもなく自己回復力に頼るほかないからです。
以前「放っておいても治る」と言われていたのは、多くの方が発症以前の身体を取り戻しているからなのだと思って、前向きに自己回復力をフル稼動させることが回復への唯一の道なのです。
病は気からの一言に尽きるということなのかもしれません・・・ 是非その手助けをしてあげて下さい。